自分はこんなに辛いのに、苦しいのに。
- なぜあの人はこんなに人生が楽しそうなのだろう
- なぜあの人には幸運が訪れるのだろう
- なぜあの人は行動的でいられるのだろう
多くの自死遺族は、精神的、肉体的な不調をきたしている最中に、誰かと自分を比べて思い悩んでしまいます。
1つ言えることとしては、「自分を苦しめるネタを自ら仕入れに行く」必要はないということです。
ソーシャルメディア (SNS) は見せびらかし文化
多くの人は、自分の辛い部分をさらけだすこと、苦しみを共有してもらおうとすることより、「楽しい自分」「人生がうまくいっている自分」「お金がある自分」「他の人にはできないことをしている自分」を見せたがります。
これは人間の根源的な心理のようなものです。「自分は成功者であり、失敗者ではない。それがゆえに自分は相対的に優れている」と自分で思い込むことで、安心を得たいのです。
ソーシャルメディア (SNS) は、こうした見せびらかし主義を増幅させるものですが、InstagramとFacebookはその中でも最たるものです。
Instagramは匿名利用できますが、写真がメインであるため、他人の「楽しい写真」「幸せな写真」を否応なく見せつけられます。写真には言葉以上のインパクトがありますので、「楽しく幸せな友人の写真」と「辛く苦しい自分」を対比してしまうことになります。
Facebookは匿名利用が禁止なので、実名利用になります。既にFacebookアカウントを持っている人は、Facebookにアクセスするたびに友人知人が美味しいものを食べた、楽しいところに外出した、家族で旅行に行ったという投稿を見せつけられ、辛くなります。
そして、「楽しい投稿を見て辛くなる自分、を見て、また辛くなる」のです。
辛い場に自分から入っていくことはない
ソーシャルメディアは中毒性があります。「見たら辛くなる」ことが分かっていても、ついつい気になってみてしまう。そして辛くなる。こうした気持ちはよく理解できます。
しかし、見てしまって辛くなるくらいであれば、InstagramもFacebookもいっそ、スマホからアプリを消してみてはどうでしょうか。
アプリを消しても、アカウントが消えるわけではないので、時間が経って再び見てみたいときにアプリを入れればいいのです。
(ちなみに筆者は、プライべードで辛い時期に両方のアプリもスマホから削除しました。今も削除したままです)
「Facebookはメッセンジャーで友人とやり取りしているので困る」という場合は、Facebookアプリではなく、Messengerアプリを使えば解決します。
Messengerアプリであれば、他人の投稿を見ずにメッセージのやり取りができます。
また、LINEなど、そもそも写真入りの他人の投稿を見てしまうアプリを使うのも手です。
ソーシャルメディア (SNS) は逃げていきません
InstagramやFacebookのアカウントを作って投稿していたが、使わなくなった人は少なくありません。
(ちなみに筆者はInstagramはほぼやっていませんし、Facebookも年に1,2回投稿する程度です)
自死遺族でなくても、いわゆる「SNS疲れ」という言葉がある通り、多くの人が「見せびらかし」の場所にうんざりしています。
よって、あなたがInstagramやFacebookのアプリを消去して、それ以後アクセスしなくなったとしても不思議なことではありません。
あなたが投稿しなくなったことを不思議に思う人は多くありません。よって、「もし投稿をやめたら、何て思われるだろうか」と心配することもありません。
逆に、不思議に思って心配して連絡してきてくれる人は、本当の友人かもしれません。
思いを出すならブログやTwitterがおすすめ
「InstagramやFacebookを使わない方がよいのは分かった。では、自分の思いをどう出せばいいのか」。
このように思われる自死遺族の方もいらっしゃるかと思います。この場合、筆者はブログとTwitterをおすすめします。
ブログ | ||
---|---|---|
匿名性 | 匿名可能 | 匿名可能 |
文量 | 制限なし | 140字 |
他の人との交流 | 基本なし | あり |
スマホ利用 | スマホ対応しているがPC推奨 (文字数が多いため) | スマホで問題なし |
費用 | 無料サービス多数あり (独自ドメインで立ち上げる場合は有料) | 無料 |
向いている方 | 他者との交流よりも、自分の思いをまとめて書きたい方 | 自分の思いを都度出して、他者と交流したい方 |
ブログとTwitter、どちらが良い、悪いということはありません。
傾向を見ていると、自死遺族となり最も辛い時期にいらっしゃる方は、長文のブログを書くだけのエネルギーがない場合が多いため、Twitterを利用されている場合が多いと思います。
(最も苦しい状態にいるときは、パソコンを開くのはかなり大変だが、スマホなら何とかできる、という方は多いでしょう)
なお、Twitterに関しては 自死遺族のTwitter利用のすすめ の記事をご覧ください。
そして、自死遺族としての最も辛い段階が過ぎた、と感じる方が、「『自死遺族となった直後の苦しみ』と『最も苦しい状態を過ぎた今思うこと』」をブログに書いていることが多いようです。
(とはいえ、ブログで長文を書くのはかなり大変な作業なので、Twitter利用者と比べると、ブログ執筆者はそう多くありません)
大切なのは、あなたの思いを出せる場があるかどうか、そして思いを苦労せずに出せるかどうかです。
InstagramやFacebookでは出せない思いを、最も苦労が少ない方法で出して頂ければと思います