自死遺族の辛さはなぜ理解されないか、2つのグラフで説明する | シンパス相談室

自死遺族の方の多くは、「愛する人が自死したことによる辛さ」に加えて、「自分の辛さを理解してもらえない」という辛さに直面します。

的外れな励まし、「回復」への期待、「そろそろ大丈夫だろう」といった思い込みなどは何から生じるのかを考えると、2つのグラフに集約されるのではないかと思いました。

 

 

自死遺族の辛さは時間とともにどう変化するか

はじめに、自死遺族の辛さについて確認してみます。筆者は、数カ月~1年という期間で見たときの辛さの変化は、以下のような方が多いと感じます。

自死遺族の辛さは時間とともにどう変化するか

愛する人が亡くなった直後は、精神的に大きな打撃を受け、起こった事実を受け入れられないという辛さがありますが、その後の「状況を受け入れた後の辛さ」のほうが本当に辛いという方が多いように思います。

数年、10年、何十年というスパンで見ると、辛さは次第に減っていきます。しかし、数カ月~1年というスパンで見ると、「時間が経つにつれて辛くなる。そして、ずっと辛いまま」と感じます。

 

 

自死遺族ではない方は、自死遺族の辛さをどう理解しているか

次に、自死遺族ではない人は、自死遺族の辛さをどう理解しているかについてです。

自死遺族ではない人は、自死遺族の辛さをどう理解しているか

自死遺族でない人は、数カ月から1年というスパンであっても、「時間が経つと辛さが減る」と理解します。

このため、自死遺族でない人は、自死遺族に対して「Xカ月も経ったのだから通常通り仕事してほしい」「1年経ったからそろそろ回復してほしい」といった発言をすることになります。

自死遺族の多くは、数カ月から1年というスパンでは、辛さが増しているのが実態であるのに、周囲からは「時間の経過とともにどんどん回復しているはずだ」という思い込みで判断されているのです。

 

 

自死遺族の方は、自分の辛さの変化について理解してもらう

自死遺族と、そうでない人で、「自死遺族としての辛さ」について大きなギャップがあることがお分かりいただけたかと思います。

では、自死遺族の方は心無い発言からどう身を守ればよいのでしょうか。

それは、理解してもらう必要な相手に対しては、話す機会を見つけて「自分の辛さがどう変化したか」「自死直後と比べて、今はどれくらい辛いか」を説明して理解してもらうことです。

もちろん、こうした説明をすること自体がかなりの精神力を使いますので、大変なことでもあります。

しかし、一度理解してもらえれば、無理解に基づく発言により精神的に傷ついたり、仕事やプライべートで支障をきたす場面を減らすことができます。

自死遺族の周囲にいる多く人は、自死遺族に嫌がらせをしたいわけではありません。

ただ、無理解によってつい傷つけることを言ってしまうことがあるのです。

こうしたリスクは減らすことができれば、お互いがストレス少なく過ごせます。

 

 

自死遺族でない方は、「時間の経過とともに辛くなる」ことを理解する

自死遺族でない人は、自死遺族は「時間の経過とともに精神的に楽になる」のではなく、「時間の経過とともにむしろ辛くなることが多い」と理解しましょう。

理解すれば、「時間の経過とともに回復する」という思い込みに基づいた発言・要望を出して、自死遺族を傷つけることも減るはずです。


 

以上の内容が、多くの自死遺族ならび自死遺族でない方に届き、無理解によって自死遺族が傷つくことが減ることを祈ります。

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