自死遺族カウンセラーを選ぶ際に注意すべき5つのポイント | シンパス相談室

愛する人が自死で亡くなり、自分や家族だけでは辛さを抱えておけない。そんな時に頼りになるのが自死遺族向けのカウンセラーです。

多くの自死遺族カウンセラーは、自死遺族の役に立ちたい、自分の苦しかった経験を役に立てて欲しいという思いで真面目に活動を行っています。

頼りになる多くのカウンセラーがいる反面、気をつけて選ばないと高額な費用の支払いが必要となるだけでなく、回復に逆行することさえ起こり得ます。

では、カウンセラーを探す際に、何に気を付けるべきかについてお伝えします。

 

 

1.大金を前払い

かつての英会話スクールNOVA商法を思い浮かべて頂くと分かりやすいです。

NOVAは、XX回分の費用を前払いし、利用するには都度予約しなければいけないが、予約が空いていない、そして授業の内容が良くないというものでした。

自死遺族カウンセラーの場合は、「1回分の費用が通常は高額だが、カウンセリング回数をまとめ買いすると大幅に安くなる」といった名目で高額な支払いを前払いさせるというものです。

そして、いざカウンセリングを受けたいときには予約が出来ず、またカウンセリングを受けても既に費用が支払われているためか、手を抜いた対応をされる場合があります。

 

2.重ね売りしようとする

ビジネスで営業をやったことがある方はよく分かるかもしれません。

営業に際しては、新たな顧客を獲得するより、既存顧客に重ね売りするほうが楽に売り上げが上がります。

例えば、1万円の売り上げをあげるために「新規顧客それぞれ1万円の売上を上げる」よりも、「既存顧客の1万円の売上を2万円にする」、つまり1人の既存のお客さんに重ね売りするほうがはるかに簡単なのです。

 

この論理を自死遺族カウンセリングに持ち込むカウンセラーも残念ながらいます。

「これまで何度かカウンセリングを請けいて頂いた方向けに、月間XX名限定で特別のカウンセリングを行っています」

「費用はやや高くなるけど、効果は高いと思います」

といった話で、通常のカウンセリングとは別の高額メニューに誘導します。

 

また、高額メニューには誘導しないまでも、カウンセリング時間が終わりそうになったら、何かしら話をつないで時間を引き延ばそうとするカウンセラーは残念ながらとても多いです。

カウンセリングを受けるということは、何かしら話をしたいと思っているわけで、そこに付け込んで何時間も延々と話をさせるように持って行きます。

気が付いたら、予定していた時間の何倍の時間も話してしまい、追加の支払額が大変な金額になることもあります。

 

3.自分の個人的体験・先入観に寄りすぎている

カウンセリングは、カウンセラーの直接的な経験、これまで対応してきたカウンセリング経験、またはカウンセラーが学習した内容に基づき行われます。

これはどのカウンセラーも同じです。

ただ、カウンセラーが経験や学習を踏まえながらも、「ある程度客観的な視点を持ち、相手を理解しようとする」のか、「あくまで自分の個人的見解・考えを押し付けようとしているのか」により、カウンセリングの質が変わってきます。

 

よくあるのが「毒親を自死で亡くしたケース」です。

毒親を自死で失った子供が持つ感情は、自死遺族が持つ一般的な感情、すなわち「悲しい」「悔しい」「辛い」だけではありません。

しかし、毒親という存在を理解しようとしないカウンセラーは「親=子供に愛情があって当たり前」「亡くなった人を許すことが回復への第一歩」といった「経験」「先入観」「思い込み」から出ようとしません。

結果、満足のいかないカウンセリング、自分には全く当てはまらないカウンセリングとなってしまいます。

 

4.結論を誘導する

カウンセリングのはじめに、ある程度話を聞いた後、「この相談者は、このような点で悩んでいるのに違いない」と決めつけるカウンセラーは少なくありません。

こうしたカウンセラーは、自分が設定した「落としどころ」に向かってカウンセリングを続けるので、話に寄り添っているようで、実は寄り添っていません。

カウンセラーは話をしながら、「やはり相談者はこのように思うか」「自分の考えは正しかった」と、頭の中でひたすら仮説の正しさを立証しているのです。

相手の話を素直に聞くのではなく、仮説の正しさを証明するために話を誘導し、落としどころにちゃんと着地するようにするため、話を聞いているようで実は効いていません。

 

5.自分に合っていない

よいカウンセラーのはずなのだが、何かしっくりこない。私が悪いのだろうか。

そのように感じる相談者の方は少なくありません。

しかし、相談者もカウンセラーも人間同士なので、相性があります。また、相談者が相談するタイミングでどのような感情だったか、どれくらい精神的に元気かによっても、最適なカウンセラーは違うことがあります。

  • 「一生懸命励まし元気づけてくれるカウンセラー」もいれば、「相談者にできるだけ話をさせ、最小限だけ話すカウンセラー」もいます。
  • 「明るく元気なカウンセラー」もいれば、「落ち着いて感情をあまり出さない」カウンセラーもいます。
  • 「適度に雑談を入れるカウンセラー」もいれば、「自死に関する話しかしないカウンセラー」もいます。
  • 「個人的な話を多くするカウンセラー」もいれば、「自分自身の話は一切しないカウンセラー」もいます。

どのカウンセラーも間違いではありません。しかし、重要なのはあなたに合ったカウンセラーかどうか、という点です。

いくら評判が良いカウンセラーでも、良いカウンセラーだと紹介してもらった場合でも、自分に合わないと感じた場合は繰り返しカウンセリングを受けることはやめましょう。効果が期待できません。

 

大きな金額の前払いはせず、「外れ」「合わない」カウンセラーからはすぐに離れる

カウンセラー選びは、試行錯誤(トライアンドエラー)が必要です。

精神的に追い込まれていて、精神的余裕がない時期に、トライアンドエラーするのは非常に辛いのですが、かといって「他のカウンセラーを探すのが大変だから、今一つのカウンセラーを使い続ける」のも、大変もったいないのです。

私からのアドバイスは、以下の通りです。

  • 信頼できるカウンセラーという確信を得るまで、多額のカウンセリング費用を前払いしない。
  • 高額なオプションメニューを勧めてくるカウンセラーは、儲け主義の良くないカウンセラーなので離れる。
  • 先入観で話を進めたり、結論を誘導するカウンセラーからは離れる。
  • 人間的にはよい人だが、自分には合わないカウンセラーからも離れる。

大切なお金と時間を無駄にしないカウンセラー選びにお役立ていただければ幸いです。

シンパス相談室 | お問合せはこちらから